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【現役社労士が解説】社会保険労務士とは?社労士を目指す全ての方へ

社労士 社会保険労務士 とは

社会保険労務士を目指す方や資格に興味がある方で、

社労士を目指す方
  • 社労士の仕事に興味はあるけど、どうすれば社労士になれるのか知りたい
  • 社労士資格を取ったあと、具体的にどんなキャリアステップがあるのか気になる
  • 社労士試験の合格に向けてモチベーションを上げたい。活躍している社労士の人の話をききたい

このような情報を収集したい方もいらっしゃるのではないでしょうか。

私も「社労士になりたい!」と決意したとき、試験勉強をしながら

  • どんな仕事ができるんだろう?
  • 早く資格をとって社労士の仕事をしてみたい

と日々想像することで、勉強のモチベーションを維持していました(笑)

社会保険労務士に興味を持っていたり、実際に今頑張っている方に向けて

社労士の仕事やキャリアについて、現場がどのようになっているのか知っていただきたいと思い、本記事では「社会保険労務士」にまつわる内容を包み隠さず、実体験を元にお伝えいたします!

knot

私は社労士として、従業員が1名の企業もあれば500名を超えるような、地方では大企業に位置する会社を計30社ほど担当しておりました。 今は事業会社に勤務しながら、副業で開業社労士の方のお手伝いをしておりますので、様々な角度で社労士の現場を解説できればと思います!

この記事でお伝えできること


  • 社会保険労務士の在り方や、仕事内容について
  • 社労士になるための必要なステップや考え方
  • 社労士試験に合格した後のキャリアや年収、実務家としての勉強方法

社労士試験合格後のキャリア考えている方へ

「試験勉強のモチベーションを維持するために、将来の選択肢を考えておきたい」「資格を取ったら、人事・労務分野で活躍したい」という方には「MS-Japan」への登録をオススメします。無料で利用できる求人紹介サイトですが、

  • 管理部門(人事・労務・法務)の転職に強く、社労士資格と相性が良い求人が探せる
  • 社労士事務所の中でも補充的な採用ではなく「伸びているため良い人材を採用したい」という層の求人がある
  • 管理部門特化型エージェントとしてブランド実績がNo.1と信頼できる

登録しておくだけでも、社会保険労務士の資格を活用して転職活動する際に有益な情報が得られますので、お見逃しなく!

社会保険労務士とは?わかりやすく3つの観点で解説

社労士を目指す方

社会保険労務士の資格はよく「人事・労務のプロフェッショナル」と説明されていますが、よくわかりません……。具体的に何ができる資格なんでしょうか?

knot

社会保険労務士は人事・労務領域における国家資格で、企業における「職場環境」や従業員の「働き方」のサポートができます。実は社会的な使命も定まってますので、順番に解説します!

社会的な使命

社会保険労務士は、国家資格のため「社会保険労務士法」と呼ばれる個別の法律が定められています。第一条によると「事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを目的とする」とされていますので、

  • 会社が問題なく成長できるような支援
  • 働く人が幸せになれるような環境作り

社会保険労務士はこのような使命をもって、業務を行わなければいけません。

社会保険労務士法 第一条(目的) クリックで開きます

この法律は、社会保険労務士の制度を定めて、その業務の適正を図り、もつて労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを目的とする。

引用元:e-Gov「社会保険労務士法」より

過去に、「社員をうつ病にして辞めさせる方法」を題材にしてブログを書いたことで、インターネット上で炎上した社労士がいたことをご存知でしょうか。経営者の方に向けて「辞めさせたい従業員は、うつ病に追い込み、自主的に退職するように誘導しよう」こういった労務管理の手法を解説する”ブラック社労士”がいました。

社労士の使命である「労働者の福祉の向上」を無視した結果、厚生労働省より「 3か月の業務停止の懲戒処分」が下されております。

経営者の方からすると、ブラックな労務管理手法も知りたいかもしれませんが、社会保険労務士が率先してこのような指導はしてはいけないのです。

企業も、そこで働く従業員も、幸せになれる環境作りに寄与できる社労士を目指しましょう。

ちなみに全国社会保険労務士連合会のHPでは社労士の懲戒処分事例は随時更新されていますので、ここに載らないように正しく仕事をしていきたいですね。

knot

社会保険労務士は企業だけでなく、働く従業員のことを考えながら仕事をする必要があります。相互理解にはバランスもあるため大変ですが、やりがいはありますよ!

企業に向けての役割

では「事業の健全な発達」に向けて、社労士はどのようなサポートができるのでしょうか?

社労士事務所の多くは、企業と顧問契約をした上で人事や労務に関してアドバイスをする仕事をしています。

企業の業種や組織規模、職場の雰囲気などによって人事・労務管理の適切な手法は異なりますが、

企業が歩むべき方向性は、おおまかに3つのステップに分けられると思います。

  • STEP1
    職場環境マイナス状態
    法律が守れていない企業。
    まずは法律を守れるように労務管理の初歩的なアドバイスを実施する。
    場合によっては、最初から全て守ることは難しい場合があるため、優先順位を付けて対応策を提案。
  • STEP2
    職場環境プラスマイナスゼロ状態
    最低限度の法律は守れている企業。
    次に必要なのは、従業員が定着できる職場環境作り。
    衛生要因を高めるための施策の提案を考える必要がある。
  • STEP3
    職場環境プラス状態
    良い職場環境作りを目指す企業。
    いわゆるホワイト企業化を目指すステップ。
    労務管理だけではなく有給休暇取得率を高めるための生産性向上の提案などが求められる。

中小企業では「STEP1」の「何らかの法律が守れていない」ケースが多いのが現状です。一昔前では、

  • 残業代を全額払ったら会社が潰れるため、支払えない
  • 有給休暇を取らせると現場が回らないし、会社として制度化していない

このような昭和体質の経営者の方が本当に存在していました。

平成から令和になり、また2019年から順次スタートしている働き方改革関連法の施行から労務管理の風向きは変わってきており、

  • 有給休暇を円滑に取らせるための制度を考えてほしい
  • 持ち帰り残業をさせないように、服務規程を作ってほしい

経営者の考え方も「STEP2」に移っていると感じます。また、日本の労働力人口は低下する未来へ進んでおり、職場環境が整っていなければ

  • 優秀な従業員は退職する
  • 新しく従業員を採用したくても、求人への応募が来ない

従業員を雇用し、事業を続けることが難しい時代に向かっているのです。労務管理ができていない会社には、課題提起をしていく必要があります。

参考となる本の紹介①

生産年齢人口の減少が加速するため、生産性を向上が必須であることが解説されていますが、対応できない場合は「中小企業の数は減らすべき」と主張されています。

社会保険労務士として経営者を支えるためには、人事・労務管理の面からでも生産性を支援することはできるため、一読しておくことをおすすめします。

個人の方に向けての役割

続いて「労働者等の福祉の向上」ですが、働く人に向かって社労士ができる役割は大きく2つあります。

  • 労務相談……勤務先の労働環境・条件やハラスメント関係などの悩みについて
  • 年金相談……将来の年金受給額や、障害年金・遺族年金などの申請書類作成依頼

労務相談を受けるケース

社労士事務所を構えて独立開業している社労士の場合、労務相談は顧問契約企業の「経営者」や「人事担当者」と打合せするケースが一般的です。

しかし、顧問契約先から「自社の従業員と面談をしてほしい」と依頼されたり、行政管轄の窓口に相談員として採用されることで、従業員の方と直接コミュニケーションを取るシチュエーションがあるのです。

個人の方から労務相談を受ける2つのシチュエーションとは?

顧問契約先の企業
行政管轄の相談員として対応
  • 顧問契約をしている企業から依頼を受けるケース
  • 外部相談窓口として、ハラスメントや労働環境・条件に関する不満を一次窓口としてヒアリングする
  • 労働局などの臨時職員である「総合労働相談員」の登録
  • 各種相談窓口や、労働基準監督署内で、訪れた個人の方の相談対応を実施する

顧問先企業の従業員であっても、行政窓口に相談に来られる方であっても、相談内容の多くは「未払い残業代」や「不当な解雇」、「ハラスメント」といった一般的な労務問題がよく見受けられます。

参考となる本の紹介②

経営者ではなく一般労働者にアドバイスする場合、単なる法律論を知りたい層や、具体的な悩みや対応策へのアドバイスを求める層と、様々です。

こちらの本は、管理職・マネージャー層に向けて執筆されており、従業員へのアドバイスをする上での注意点が学べますので参考にしてください。

年金相談を受けるケース

社労士が個人の方から年金の相談を受けるには、街角の年金相談センターの相談員として出向いたり、地域の金融機関と連携して「相談会」を開くことになります。

この場合は

  • 将来の年金の受給額は概算でいくら見込めるのか?
  • 日本年金機構からたまに届くハガキ(ねんきん定期便)の見方を教えてほしい
  • 60歳以上になっても働きたいが、年金はどうなるのか?
  • 年金を受け取るための書類の書き方が知りたい

基本的な書類の書き方や、制度に関する疑問や質問が多く寄せられます。特に障害年金や遺族年金は、受給のための要件が分かりにくいため、その分野に特化して事業をされている社労士の方もいらっしゃいますね。

参考となる本の紹介③

年金制度は複雑なため、苦手としている社労士の方もいらっしゃるのではないでしょうか。正直、私も過去に年金相談を受けたことは片手ほどしかなく、本がないと上手く説明する自信がありません。

この本は、年金の実務に関するQ&Aが記載されていますので、基本的な相談なら一冊あると対応が可能です。また、実務面から社労士試験の勉強もできますので、一度読んでみてはいかがでしょうか。

社会保険労務士になるためにどうすればいいの?

社労士を目指す方

社会保険労務士の役割について、しっかり理解できました!これから目指していきたいんですけど、どうすればいいのでしょうか?

knot

社会保険労務士になるためには、4つの手順を踏む必要があります。それぞれ分かりやすく解説しますね!

社会保険労務士になるための4STEP
  • STEP1
    社会保険労務士の試験制度について確認しよう!
    社会保険労務士になるためには、
    第一条件として「社会保険労務士試験」を受け、合格する必要があります。
    受験資格や要件は確認しておきましょう。
  • STEP2
    社会保険労務士の試験を突破しよう!
    受験資格がある場合、試験に申し込みましょう。
    試験に合格しないと、次のSTEPには進めないため、勉強あるのみです!
  • STEP3
    登録するための要件を満たそう!
    社会保険労務士は、試験に合格=社労士ではありません。
    まだ社労士有資格者であって、社労士ではないため注意しましょう。
    登録するために、2つの道順があります。
  • STEP4
    社会保険労務士登録をしよう!
    晴れて社会保険労務士になれます!

社労士を名乗り、仕事をするためには4つのステップが必要になります。それぞれ見ていきましょう。

社会保険労務士の試験制度について確認しよう!

社労士になるためには、試験の突破が前提となります。まずは試験の概要を掴み、勉強のスケジュールを立てましょう!

また、社労士試験は受験資格があるため、誰でも申し込みができるわけではありません。まずはじめに、ご自身に受験資格があるのか確認することも忘れてはいけません。

試験内容

社会保険労務士の試験は、合計290分=4時間50分と一日に渡って実施されます。長丁場になりますので、当日は集中力が切らないように、模擬試験などで慣れておきたいですね!

  • 【選択式形式】各問題の文章中に5つの空欄があり、与えられた選択肢の中から適切な語句を選択して回答
    • 試験時間は80分 ……10:30~11:50(10:00には着席必須)
  • 【択一式形式】問題に対する解答を5つの選択肢から1つ選んで回答
    • 試験時間は210分……13:20~16:50(12:50には着席必須)

出題される試験科目と得点配分

試験科目
午前:選択式
計8科目(配点)
午後:択一式
計7科目(配点)
労働基準法及び労働安全衛生法
1問(5点)
10問(10点)
労働者災害補償保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む)
1問(5点)
10問(10点)
雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む)
1問(5点)
10問(10点)
労務管理その他の労働に関する一般常識
1問(5点)
10問(10点)
社会保険に関する一般常識
1問(5点)
健康保険法
1問(5点)
10問(10点)
厚生年金保険法
1問(5点)
10問(10点)
国民年金法
1問(5点)
10問(10点)
合計
8問(40点)
70問(70点)

社労士試験では、一定の点数が取れていない時点で強制的に不合格になる「足切り制度」がありますので、注意してください。例年、多くの受験生が足切りにかかり、1点の重みに泣くこともあります。

下記は2020年本試験の合格ラインです。例年、同じ水準で設定されていますので、参考にしてください!

足切り制度について

選択式
択一式
  • 40点満点中、総得点25点以上
  • 各科目個別に3点以上
  • ※救済制度として、労務管理その他の労働に関する一般常識、社会保険に関する一般常識及び健康保険法は2点以上に引き下げ有り
  • 70点満点中、総得点44点以上
  • 各科目個別に4点以上

主なスケジュール

令和3年度(第53回)の社労士試験のスケジュールを記載していますが、毎年似たようなスケジュールで情報解禁されています。4月に入ったら定期的に「社会保険労務士試験オフィシャルサイト」を覗きにいきましょう

社労士試験は、インターネット上で出願することはできません。出願書類を手に入れ、所定の場所に郵送申し込みをする必要がありますので、申込みの流れや期日は注意してください。

時期
内容
4月19日(月) 受験申込書の受付開始
5月31日(月) 受験申込書の締切(消印有効)
8月22日(日) 第53回社会保険労務士試験日
10月29日(金) 合格発表日(官報公告および社会保険労務士試験オフィシャルサイトにて合格者の受験番号掲載)

参照元:社会保険労務士試験オフィシャルサイトより

主な受験資格について

受験資格があるとはいえ、一つでも満たすだけでOKです。最終学歴が高校卒業の方であっても、行政書士の資格を取ったり、社労士事務所で実務経験を積むことで受験資格が得られるなど、間口は広く設定されていますので安心してください。

学歴

学校教育法による大学、短期大学、専門職大学、専門職短期大学若しくは高等専門学校(5年制)を卒業した者又は専門職大学の前期課程を修了した者

実務経験

社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人又は弁護士若しくは弁護士法人の業務の補助の事務に従事した期間が通算して3年以上になる者

試験合格

厚生労働大臣が認めた国家試験に合格した者
行政書士試験に合格した者

引用元:社会保険労務士試験オフィシャルサイト

社会保険労務士の試験を突破しよう!

社労士試験の受験資格がある場合は、

  1. 試験に申し込む
  2. 勉強・合格をする

シンプルに合格までのアクションを踏むだけです。

試験に申し込む

先ほどもお伝えしましたが、社労士試験は、申し込み方法が郵送に限られておりインターネットで行うことはできません

また、申し込み用紙を受け取る方法も

  • 【郵送での受け取り】全国社会保険労務士連合会試験センターへ受験申込書の請求を行う
  • 【直接の受け取り】都道府県社会保険労務士会窓口に出向き、請求を行う

上記2つしかないので注意しましょう。

knot

郵送の場合は、住んでいる地域にもよりますので1週間ほど時間が必要と思っておきましょう。私は都道府県社労士会まで取りにいきましたが、雰囲気を知れてモチベーションが上がったのでオススメです!

地元の社労士会の所在地は、公式HPですぐに見つけることができます。

都道府県の社労士会はこちらから検索

勉強・合格をする

無事、社労士試験への申し込みが完了できたらあとは試験合格を目指して勉強あるのみです。

試験内容でもお伝えした通り、本試験の特徴は

  • 試験は午前中(選択式)・午後(択一式)と出題形式が異なる
  • 選択式と択一式のそれぞれの総合得点に足切りが設けられる
  • 各科目ごとに足切りが設けられる

2つの足切りが設定されているため、対策を練って勉強しなければ合格は難しい試験です。

社労士を目指す方

労働基準法の科目が得意だから、そこで満点狙って総合得点を確保してもいいの?

knot

仮に労働基準法が満点でも、別の1科目に基準点以下があると問答無用で不合格です!その年の受験者の平均点数に応じて、基準点が引き下がる「救済措置」もありますが、合格発表の日までは分からないため、考えない方が吉ですね。

社会保険労務士試験は、出題範囲が広いことに加えて「2つの足切り」があるため平均合格率が5~7%と一筋縄でいかない難易度になっています。

例年、出題傾向が少しかわってきていることもあり、1~2年の短期合格を目指す場合は独学の道は考え直した方がベターです。対策と傾向も学べる予備校や通信講座で、しっかりと勉強されることをオススメします。

数ある講座の中でも、特におすすめのものを厳選したのでぜひご一読ください。

社労士 講座 おすすめ
【社会人向け】社労士の予備校・通信講座を比較・オススメ解説【2022年合格】 働き方改革や人事労務の重要性が高まっていることから、社会保険労務士の資格を取りたい!でも一方で 社労士の資格に向けて勉強し...

登録するための要件を満たそう!

無事に試験合格できても「社会保険労務士です!」と名乗ってはいけません!

社労士 登録

社労士になるためには、試験合格はスタートラインに立つための手段でしかありません。

通算2年の実務経験を積む」もしくは「事務指定講習」とよばれる指定の講習を完了し、その証明がなければ社労士として登録することはできません。ちなみに、実務経験の期間は試験合格関係なく勤めている分がカウントされますので安心してください。

  • 実務経験……社労士事務所や、一般企業内の総務部・人事部・労務部などで労務管理の業務に携わる。期間は2年間だが、証明できると通算でもOK
  • 事務指定講習……2月から5月の期間中に「通信指導課程」・7月から9月の期間に平日5日間指定された場所で「面接指導課程」を受講する

どちらの条件を満たすべきか、仕事の状況や今後のキャリアを踏まえて選択しましょう。

合格の嬉しさから、合格発表翌日から「社会保険労務士」を名乗って仕事をしていると、「ニセ社労士」に該当する可能性があります。せっかくの合格に泥がつきますので、止めておきましょう。

茨城県の社労士会HPによると、

「社会保険労務士試験に合格しているが、登録をしていない人の名称」については「有資格者ではなく試験合格者」と呼ぶことが適切としています。

社会保険労務士試験に合格し、いずれ社会保険労務士として登録しようと思っているのですが、登録する前の段階で「社会保険労務士有資格者」と名乗ってもいいでしょうか。

社会保険労務士試験に合格しても、全国社会保険労務士会連合会に登録していないと「社会保険労務士」と名乗ることはできませんが、ご質問のように、社会保険労務士試験に合格し、登録していない状態で「社会保険労務士有資格者」と称することについては、実際には社会保険労務士ではないのに社会保険労務士であるかのような誤解を与えるため、適切とは言えません。
社会保険労務士試験に合格しても社会保険労務士として登録していない状態の人は、あえて言うなら「社会保険労務士試験合格者」です。

引用元:茨城県社会保険労務士会「社労士と社労士制度 よくある質問(Q&A FAQ)

knot

SNSなどで「社労士有資格者です」とプロフィールに書いてある場合がありますが、登録してから名乗った方が安心ですね!

社労士登録までの道のりまとめ

実務経験を積む
事務指定講習に参加する
  • 一般企業内で、労働保険や社会保険関係の事務手続きを行う
  • 社会保険労務士事務所で、企業の人事労務管理業務に従事する
  • 上記の経験が通算2年以上として、勤務先から証明を受ける必要がある
  • 社会保険労務士の試験に合格した方のみが参加できる講習
  • 2月から9月までの間に行われる通信指導課程と面接指導課程を終える
  • 受講費用で約10万円、面接指導は会場指定のため別途交通費も必要

私は社労士の登録を一日でも早くしたかった為、事務指定講習を受けました。事務指定講習の内容について、解説しておりますので「通信指導は何をするの?」「面接があるの?嫌だな……」と思われる方はぜひチェックしてください!

https://www.sharoushi-campus.com/%e5%90%88%e6%a0%bc%e8%80%85%e5%bf%85%e8%a6%8b%ef%bc%81%e7%a4%be%e4%bc%9a%e4%bf%9d%e9%99%ba%e5%8a%b4%e5%8b%99%e5%a3%ab%e3%81%ab%e3%81%aa%e3%82%8b%e3%81%9f%e3%82%81%e3%81%ab%e5%bf%85%e8%a6%81%e3%81%aa/

社会保険労務士の登録をしよう!

社労士を目指す方

社労士試験に合格し、登録までの要件を満たせたら、ようやく社労士として仕事ができるんですね。長い道のりでした……!

knot

目指す時期にもよりますが、人事労務の職務経験がなければ最短でも2年近くは掛かります。でもその分登録できたときの感動は大きいですよ!

登録の要件を満たすことができたら、最後のステップ「登録作業」になります。

都道府県の社労士会ごとに若干手続きは変わりますが、

  • 入会手続きの書類準備
  • 入会金の支払い
  • 新規登録入会研修会

などを行い、晴れて社会保険労務士になることができます。

登録すると会員証兼証明書が配布されますので、より実感すると思います。ちなみにこの中には会員証や研修記録の表を入れることができます。

社会保険労務士

具体的な登録の方法や会費は、各都道府県によって異なりますので、必ず確認しておきましょう!

都道府県の社労士会はこちらから検索

社会保険労務士のキャリアについて

社労士を目指す方

社会保険労務士って、合格したらどんなキャリアになるの?選択肢は広がるのでしょうか?

knot

社労士の試験に合格したら、選べる選択肢は大きく4つあります。「登録をするのか、しないのか」と「開業」「勤務先」「その他」のどれで登録をするのか、です。

また、社労士は単なる資格の一つでしかないので、活用の方法を間違えると実は何の意味もありません……。

そもそも社労士の資格を取った後に、「登録って必要なの?」「何のために登録をするの?」疑問に思われる方もいらっしゃるかと思いますので、必要性とメリットについて解説いたします。

登録は必要?メリットとデメリットについて

社労士登録

改めてお伝えすると、社会保険労務士の試験に合格しただけでは社労士として仕事はできません。資格を志した目的から逆算して、登録をするのか検討したいですね。

登録をすべき方
登録をしなくても良い方
  • 社労士として仕事がしたい
  • 人事労務の担当としてより活躍したい
  • 独立開業がしたい
  • 資格を取ることが目的
  • 士業の資格でなんとなく興味があった

登録のメリット

社労士になるメリットは

  • 社労士として仕事ができ、報酬を得ることができる(※登録内容にもよります)
  • 士業資格者ということで信頼性が高まる
  • 登録者だけの勉強会などに参加できるため士業内における人脈が作れる

仕事の幅が広がるだけでなく、専門家として社会から信頼されやすくなります。国が認めたという看板を使えますので、ビジネス面では役に立ちます。

プライベート上でも、友人から「勤め先の労務管理がひどいかもしれない」と相談受けることはよくあります。頼られることは純粋に嬉しいですよね。

登録のデメリット

ただし、登録は無料というわけでもなく、割と高額な「費用」が掛かります。

「開業」「勤務等」のどちらで実施するのかで異なりますが、下記諸経費が必要で、一回だけの費用もあれば、年会費として継続的にかかるものもあります。

東京都で社労士登録の実費となりますが、どこの都道府県でも極端な差はありません。

 
開業登録
勤務・その他登録
合計費用
206,000円
132,000円
登録免許税
(印紙代)
30,000円
30,000円
登録手数料
30,000円
30,000円
入会費用
50,000円
30,000円
年会費
96,000円
42,000円

参照元:東京都社会保険労務士会「登録・入会について」より

勤め先の企業や社労士事務所が負担してくれるなら良いですが、個人で最低でも10万円以上支払うのは大変です。人事・労務領域で仕事をしないのであれば、社労士登録をするメリットはほとんどありません。

ただし、「資格合格者」と「資格者」では壁があることを理解しておきましょう!

登録の種類とは?開業や勤務ってどう違うの?

社労士登録の種類

大きくわけると、登録種別は3つあります。厳密には、「社会保険労務士法人の役員」として登録をする場合もありますが、内容については開業登録とほとんど違いはありませんので、含めて説明いたします。

開業登録

自分で事務所を設立し、企業や一般の方に向けて社労士として仕事をすることができます。

開業登録をすることで、お客様から報酬を得て仕事をすることができます。社会保険労務士をご自身の事業として行い、生計をたてていくのであれば、開業登録が必須となります。

勤務登録・その他登録

開業しない場合は「勤務登録」もしくは「その他登録」を選ぶことになりますが、どちらにしても「事業として社労士業務を行ってはいけない」ルールがありますので注意しましょう。

開業社労士と同じように、報酬を得て企業や個人の方と契約すると、社労士法違反となり懲戒処分を受けることになります。

では、「勤務登録」と「その他登録」にはどのような違いがあるのでしょうか?

勤務登録
その他登録
  • 勤務先の企業内における社労士業務が行える
  • 社会保険労務士としての仕事は行えない

結論、「勤務先の企業内に限り社労士業務ができるのか」「社労士業務そのものができないのか」になります。

「勤務登録」を選ぶ場合、勤め先の会社を社労士会に報告するのですが、その会社内における従業員の手続き等を行うことができます。

一方で、「その他登録」については社労士としての仕事は何もできません。ただし、社労士会の会員として研修への参加ができたり、他の社労士と交流がしやすくなりますので、人脈形成がしたい方は検討しましょう。

knot

私も一時期「その他登録」をしていましたが、正直意味はなかったかな?と思います(笑)

会報や研修の案内がくるので勉強にはなりますが、年会費分の投資に見合わなかったです。

ただ、一度社労士の登録を解除してしまうと、再登録に登録手数料などが必要なので注意してくださいね。

勤務社労士とは?業務範囲や年収、登録のメリットをお伝えします 社会保険労務士の資格を目指している方や、試験に無事合格された方の中には 試験に合格したものの、どのように活用できるのか分からな...

キャリアアップできる?社労士の就職・転職事情

社労士は難関国家資格と言われていますが、所詮は「資格」でしかありません。就職や転職活動時に役に立つのか、立たないのか、ご自身の望むキャリアと相談して見極めましょう。

社労士の資格は、平均合格率が5~7%と勉強せずに合格できる試験ではありません。

試験に合格することで、就職・転職活動において「努力できる能力」として一定の評価はいただけますが、それ以上のメリットを望むのであれば、業界・業種の研究はしておきましょう。

社労士資格が役に立つ就職・転職先

社会保険労務士の資格を取ることで、就職活動が有利になる業界・業種・役職は

  • 社会保険労務士事務所もしくは社会保険労務士法人
  • 一般企業における人事労務部門や総務部門
  • 人事や組織開発系のコンサルティング会社
  • ベンチャー企業のCHO(最高人事責任者)やIPOを目指すための人事部門長

上記4つ辺りになります。

人事・労務に関する深い知識が必要とされる仕事では、社労士試験で学習する「労働基準法」や「労働契約法」「労務管理その他の労働に関する一般常識」が直接関わります。そのため有資格者の場合は良い評価を得られやすくなるのです。

転職サイトで「社会保険労務士資格」などで検索すると、有資格者募集の求人を見つけることができます。社労士事務所だけでなく、一般企業の勤務社労士としての採用を検討している企業もありますので、随時確認しましょう。

社労士資格が役に立たない就職・転職先

「努力ができる姿勢」は評価してくれますが、業種や業界によっては社労士資格そのものが就職活動において足枷になる可能性があります。

というのも、「社労士=労働基準法などに詳しい」という認識を経営者は持っています。

自社の労務管理がずさんになっていると、「社労士を採用すると色々と面倒になりそうだ」となってしまい

資格者ということで採用されないケースがあるのです。特に

  • 従業員が少なく、一族経営のような状態になっている企業
  • 「建設・建築業」や「運送、物流・トラック業」のように、労務管理が難しい業界

に求人申し込みをする場合、社労士資格のアピールは避けたほうが無難と言えます。

会社に求められているポジションが「経理」に対して、「営業ができること」をPRしても不合格になるのと同じで、ニーズがない業種や業界で資格をアピールしても意味はありません。

資格を活かして就職・転職活動をしよう!

社労士資格が役に立つ業種・業界で働く場合は、専門的な求人を取り扱う転職サイトの利用をオススメします。

就職活動をする上で重要なのは、

業界・業種を絞った後、希望の求人を出している企業数を何件確保できるのか?」に尽きます。

募集している企業数の確保ができていなければ、応募することもできませんので、まずは幅広い情報収集からスタートしましょう。業種や業界によっては、専門の求職サイトがありますので、活用しない手はありません。

MS-Japanは、人事・労務のような管理部門および士業に特化した求人紹介会社です。公認会計士や税理士はもちろん、社会保険労務士の取り扱いもありますので、登録しておきましょう。

無料で利用できる一方、MS-Japanでのみ取り扱う求人もある等、定期的なチェックも必須です!

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また、私は社労士資格を活用してメガベンチャーとよばれる企業に転職することができました。社会保険労務士事務所のときに比べると100万円以上年収UPに成功しており、その体験にを元に、転職を成功させるための考え方を解説しています。ぜひご一読ください。

社労士は就職で不利になる資格?転職を成功させるために社労士の強みを徹底解説 社会保険労務士を志望している方や、実際に働いている方の中には、 社労士が転職する時に、企業に伝わる強みはあるの?転職時に不利に...

社会保険労務士の年収

社労士を目指す方

社会保険労務士の資格を取ったら年収は上がる?独立したら稼げるの?

knot

結論、稼ぎたいのであれば独立、安定した給与がほしいのであれば会社勤めにしましょう。ただし、独立して稼ぐにしても努力は前提ですよ!

勤務社労士はサラリーマン、独立開業は自分が経営者と立場が全く異なります。そのため年収幅を一括にはできませんので、それぞれお伝えします。

勤務社労士の平均年収

結論、勤務社労士は「サラリーマン」ですので、収入は勤務先の会社の賃金テーブルと同様です。従って、一概に資格だけで稼げる・稼げないと定義することは難しいのです。今回は、

  • 私の実体験並びに転職サイト上に掲載されている求人調査
  • 国税庁および厚生労働省からの公表資料

上記2つの側面から、勤務社労士として働いている方の給与の水準をまとめておりますので、確認していきましょう。

【実体験と調査結果】社会保険労務士事務所に勤めた場合の年収は?

まずは私の実体験の報告です。

26歳のときに、業界未経験者(社労士試験合格済み)として社労士事務所に転職をし、3年と少し働きました。その時の年収は次のように推移をしております。

未経験者として転職した当時の年収推移
  • 1年目・26歳
    年収300万円
    社労士業務未経験者として転職・社労士試験合格済み。
  • 2年目・27歳
    年収350万円
    社労士登録を実施・資格手当として月額20,000円上乗せ有り。
  • 3年目・28歳
    年収430万円
    約30社の顧客を担当。次年度はリーダとして年収500万を打診いただいたところで転職。

28歳・資格登録者・経験3年目の時点で約430万円という結果でした。

続いて、求人サイトや転職サイトで求人掲載を出していた「社会保険労務士事務所・社会保険労務士法人」を調査した内容です。

掲載されている求人には、モデル年収の表記がされている場合がありますので、そちらを収集したところ、未経験者からの年収推移は次のようになりました。

おおむね、資格者・経験3~4年目の方は400万円前後に落ち着いています。

一部の事務所では、ご自身の売上によって給与が変動する「歩合制度」や「インセンティブ制度」を導入している場合もあり、更に高い給与を狙うことは十分に可能でしょう。

注意点は、個人事務所(≠社労士法人)では売上が不透明になりやすいので

  • 資金的余力が少なく、年収アップが見込めない
  • 代表者の所得確保のため人件費が抑えられている

なんてこともありえます。仕事の成果に応じて報酬が得られるように、就職先は慎重に選びたいですね。

社労士事務所の年収相場について、より詳しく確認したい方はぜひ下記をご一読ください。給与の内訳など詳細を公開しています。

【転職を考えている方へ】社会保険労務士事務所のリアルな年収を徹底解説 こんにちは、knotです。 皆さんは就職・転職をするにあたって、 就職・転職に関するよくあるお悩み この企...

勤務社労士の年収水準

一般企業における勤務社労士の平均年収について、国税庁および厚生労働省から公表されているデータを参考に取りまとめました。

年代
勤務社労士の年収
平均年収
カテゴリ
男性
女性
全体
男性
女性
40代
514万
416万
476~502万円
581~635万円
313~319万円

女性の場合は、同年代の平均年収と比べると100万円以上も年収UPが見込めると言えます。 男性は平均より少なくなっていますが、一般企業内における社労士業務は基本的にバックオフィス(事務)業務になるため、営業職などに比べると下がってしまいます。

とはいえ、全体での平均年収よりも高いことに変わりはありませんので、勤務社労士として働く価値はあるのではないでしょうか。

社会保険労務士の資格手当について

資格登録をしていると、会社の規定によって「資格手当」が支給されることがあります。

求人では「資格手当あり」のみ書かれているケースもあるため、実際に面接で質問するか、入社してみないと金額はわからなかったりします。

「月額10,000円~30,000円」が相場観ですので、参考にしてください。

独立開業すると1,000万円稼げる?

自分で事務所を立ち上げて仕事をするのであれば、サラリーマン以上の収入を得ることは可能です。

2018年に大阪大学大学院が実施した社会保険労務士の研究資料によると、開業社労士の年間個人所得(年収)の割合は

  • 最も多いのが「300万円未満」の26.3%
  • 次に多いのが「300万円以上400万円未満」で15.3%
  • 3番目は「1,000万円以上3,000万円未満」の12.6%

という結果になっています。

開業社会保険労務士の年収割合
3,000万円以上
0.9%
1,000万円以上・3,000万円未満
12.6%
900万円以上・1,000万円未満
3.5%
800万円以上・900万円未満
3.8%
700万円以上・800万円未満
6.8%
600万円以上・700万円未満
8.2%
500万円以上・600万円未満
10.2%
400万円以上・500万円未満
12.2%
300万円以上・400万円未満
15.3%
300万円未満
26.3%

参考:大阪大学大学院「「専門士業の「専門性」形成のモデル構築:社会保険労務士を手がかりとして」」より

「社労士って資格の割に年収が低い」と見るのか「1,000万を超える人が多い」と捉えるのかは、お任せしますが、

  • 社会保険労務士になっても仕事がない。取るだけ無駄の資格
  • 試験の難しさの割に、資格だけ食べることは難しい
  • 社労士資格者も増え、独立しても仕事はない

このように巷で一方的に揶揄されている方を見ると、ご自身の働き方を見直した方が良いのでは?と思います。

社労士は単なる”資格”です。持っているだけで年収・年商があがる魔法ではありませんので、どういったキャリアを描き、進んでいきたいのかしっかりと決めましょう。

knot

単に事務所を構えただけで「仕事をお願いします」なんて頼まれることはほとんどありません。事務所の認知度を上げるためのマーケティングをしたり、契約のための営業活動をしなければ、「お客様から選ばれる事務所」にはなりません。

社労士として年収1,000万円を稼ぐための考え方については、別途記事にしていますので独立を考えている方にはぜひ読んでいただきたいと思います。

https://www.sharoushi-campus.com/%e3%80%90%e9%a3%9f%e3%81%88%e3%82%8b%ef%bc%9f%e9%a3%9f%e3%81%88%e3%81%aa%e3%81%84%ef%bc%9f%e3%80%91%e7%a4%be%e4%bc%9a%e4%bf%9d%e9%99%ba%e5%8a%b4%e5%8b%99%e5%a3%ab%e3%81%a71000%e4%b8%87%e5%86%86/

社会保険労務士の具体的な仕事内容について

社労士を目指す方

社労士の資格や、キャリアについて理解できたので、そろそろ仕事内容を教えてください!

knot

社会保険労務士は、企業の人事・労務管理を担う仕事がメインになります!という抽象的な話ではなく、具体的に何をしているのかお伝えしますね!

独占業務とは?【法律上の定義】

社会保険労務士法で、社労士の業務は定義されています。とはいっても、法律上の表現は非常に分かりにくく、具体性に乏しいためさらっと見るだけでも良いでしょう。

一号業務(手続き代行)の詳細を見る

・労働及び社会保険に関する法令(以下「労働社会保険諸法令」という。)に基づいて申請書等を作成すること
・申請書等について、その提出に関する手続を代わってすること
・労働社会保険諸法令に基づく申請等について又は当該申請等に係る行政機関等の調査若しくは処分に関し当該行政機関等に対してする・主張若しくは陳述について代理すること

ニ号業務(帳簿書類の作成)の詳細を見る

労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類(その作成に代えて電磁的記録を作成する場合における当該電磁的記録を含み、申請書等を除く。)を作成すること

三号業務(コンサルティング)の詳細を見る

・事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について相談に応じ、又は指導すること。

引用元:e-Gov「社会保険労務士法」より

社労士が担う人事・労務の領域について

では、具体的にな社労士が関わる人事・労務の仕事をお伝えします。

次の図は、私が社労士として経験した実際の仕事を元に作成した業務のマップになります。

社労士業務 ポジショニングマップ

社会保険労務士の業務内容

社労士の仕事は、

  • 人事系と労務系
  • コンサルティング的もしくは事務的

4象限に切り分けて考えると、わかりやすいですね。一部、人事要素も労務要素もあるため見る方によっては異なる意見もあるかと思いますが、ご了承ください。

労務×コンサルティング

労務領域における主なコンサルティング業務は、

  • 労務監査や、労働基準監督署の調査対応
  • 就業規則の作成
  • 福利厚生などの制度設計
  • 労使トラブルに対する対応

「企業の労務管理上の問題点や課題」について「解決」する仕事になります。

ポジショニング上で一番左上にある労務監査については、昨今社労士業界で取り組みが広まりつつあるサービスです。

従来は、労働基準監督署の調査で企業の労務コンプライアンスの状態が可視化されておりましたが、社労士がその機能を担い、従業員の働きやすい環境整備や、法令遵守の指導を進めるケースが増えているのです。

社会保険労務士連合会が「経営労務診断」というサービスを開始しています。企業の働き方を改善するためにも、ぜひ取り組んでいきたい仕事ですね!

労務×事務

続いて、労務領域に関する事務的業務は

  • 労働保険や社会保険の加入・喪失手続き
  • 勤怠管理や給与計算
  • 安全衛生管理の会議出席や、議事録の作成

書類や帳簿作成がメインになります。

保険の手続きは、従業員を新しく採用したり、退職した際だけでなく、出産や育児、仕事中や通勤途上の怪我など様々なイベントで発生します。従業員の数が1,000人を超える大企業になると、書類作成だけでもかなり大変です。

また、社労士事務所では企業の給与計算業務を委託(アウトソーシング)されることもあります。給与計算は間違えてはいけない仕事ですので大変ですので、基本的な知識は必ず確認しておきましょう。

給与計算 担当
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人事×コンサルティング

人事領域でのコンサルティング業務ですが、

  • ES(従業員満足度)調査・向上のための施策提案
  • 労働時間制度の設計・導入
  • 賃金や評価制度の設計・導入
  • 教育研修(新入社員・ビジネスマナー等)

主に従業員の働き方に関連する内容が多くなります。

従業員の方が、勤務先の企業に対して「満足しているのか?」「不満があればどういった要素なのか?」などとヒアリングを実施。その結果に基づいて環境改善のための提案を行ったり、

労働時間の制度では、年間労働時間(残業含む)を調査分析し、

残業時間を抑制するためには「変形労働時間」を入れるべきか、それとも「裁量労働制」が適切なのか、

業種・企業文化や風土、実態に応じて提案をしたりします。

無理な制度を入れてしまうと現場のモチベーションが低下しますので、難易度の高いコンサルティングでもあります。

人事×事務

最後に、人事領域における事務的業務ですが、

  • 採用、教育スケジュールの作成
  • 人件費率の算出
  • 入退職者の対応
  • 求人票の作成、提出および面接

採用などに関する書類作成や、従業員への説明対応がメインになります。

採用などのスケジュール作成はコンサルティング要素もありますが、

年間を通して「いつ」「誰を(新卒or中途)」「何名」「どのように(求人媒体・人材紹介業者・リファラル)」「いくらの予算で」採用するのかといった計画を立てる仕事もあります。

knot

この内容も、社労士業務の一部でしかありません。さらに細かく言うと、「ハラスメントの相談」や「人事労務管理のためのITツール導入支援」「労使協議会への同席」のような業務もあります。「ヒト」に関する仕事のプロとして本当に色々な経験が積める、素敵な業界だと思っています!

社会保険労務士の仕事に未来・将来性はあるの?

社労士を目指す方

最近テレビCMで「SmartHR」や「オフィスステーション」を見かけるけど、人事労務の業界もシステムが発達したり、AIの進化で社労士の仕事はなくならないのでしょうか?これから目指していいのか不安です……

knot

なくなる可能性も、なくならない可能性も両方あります!社労士にしかできない仕事もあるので、心配せずに飛び込んできてほしいです。

前段の「社労士業務ポジショニングマップ」の領域を参考にすると分かりやすいですが、

将来性がある仕事
将来性がない仕事
  • コンサルティング業務
  • 書類作成などの事務的な業務

AIと共存して、社労士として活躍するには「コンサルティング」の仕事をしっかりと提案していきましょう。

将来性がある業務

今後、コンサルティングのニーズや重要性は高まります。

AIをはじめとるすテクノロジーが発達したとしても、「ヒト」の問題は人間独特の感情などが関わるケースが多くあります。

例えば「ハラスメントが会社内で起こっている。どうすればいいか相談に乗って欲しい」と経営者の方から相談を受けた際、

  • 機械的な回答……法律通りに物事を進める
  • 人間的な回答……人間関係や感情を考慮し、それぞれの事情に寄り添った上で物事を進める

どちらの対応が喜ばれるでしょうか?また、円満に解決できるでしょうか?

人事・労務の問題は、単に法律に照らして解決できるほど、簡単ではありません。経営者に寄り添い、最適な提案をすることが社労士の価値であり、AIには負けない仕事になるのです。

とは言っても、コンサルティング経験少ない方からすると、難しいイメージがあるかもしれません。社労士試験では法律を学べても、課題解決に向けた仮説の立て方や、課題解決の提案は勉強できません。

職場における問題点の多くは、人間関係に起因することがありますので、「AIに負けない社労士として活躍したい!」と思われる方は、次の二冊で勉強することをオススメします。

参考となる本の紹介④

心理的安全性とは、職場において発言や指摘をしても拒絶されることなく、一つの意見として周りの方に受け止めてくれる状態のことです。安心して自分の考えや意見を発信できるため、職場が良い方向性に循環すると言われています。

社労士目線で、心理的安全性の高め方をアドバイスできるとコンサルに深みが生み出せますね!

参考となる本の紹介⑤

組織や個人が円滑に働けるようになるために取るべき「対話」のアプローチが事例をもとに解説されています。2022年には、すべての企業がハラスメントの防止に向けた取り組みをしなければなりませんが、「対話」のアプローチから提案できる社労士はニーズはありますね!

knot

マネジメント系の書籍は多くありますが、まずは「どういった組織を目指していくのか」提案できるように、組織論を勉強しておきたいですね!

将来性がない業務

給与計算や、保険手続きの単なる書類作成については、社労士に頼らずに自社で取り組みされている企業が増えてきています。

コンサルティング系の仕事以外はなくなると思っていた方が、心理的には良いと思います(笑)

AIではありませんが、最近テレビCMでも見かけるSmartHRは、人事・労務の業務効率化に向けたツールで、資料作成の時間を大幅削減ができます。

専門的な知識もシステムがカバーしてくれるため、社労士に書類作成の手続きを外注しなくとも自社内で完結できる環境が整ってきているのです。そのため、事務的な仕事はAIやテクノロジーに代替されるといっても過言ではありません。

ただ、世間を賑わしている感染症のような緊急事態に対応するためのBCP(事業継続計画)の手段として労務管理のほとんどを外注する企業もありますので、どういった仕事が必要とされるのか、見極めていきましょう。

【AIに代替されない社労士とは】無くなる仕事と必要とされる仕事 AIやSaaSといったテクノロジーサービスの発展で、 社会保険労務士の仕事はなくなる? AIと共存することはできるのか? 必要...

社会保険労務士として成長するためには?

社労士を目指す方

社会保険労務士として活躍するために、現場に出ることも重要だけどしっかりと知識を付けたいです。何かおすすめの本はありませんか?

knot

実践型の知識なのか、給与(=独立時の報酬)を上げるためのノウハウなのか、目的によってオススメの本は異なります!

  • 社労士事務的で働いている方向け
  • 企業内で総務部や人事部で働いている方向け
  • 独立を目指している、もしくは独立した方

それぞれ状況に応じて、得るべきスキルの優先順位が変わりますので、ご自身の状況にぴったりの本を読みましょう!

社労士事務所で働いている方向け

お客様は「人事・労務」のプロフェッショナルとして社労士と契約をし、相談をしてくれます。

そのため、社労士事務所で勤務する場合

  • 法律の知識だけでなく、労務管理上のトラブル事例・解決事例を知っているか?
  • 企業側の問題点をしっかりと把握した上で論理的な提案ができるのか?

適切なアドバイスをするために幅広い事例とコミュニケーション能力が必要になります。

私が社労士事務所に転職をした際に、読み込み、役に立った本を下記で紹介していますので、ぜひ参考にしてください!

【厳選7冊】初心者だった私が社会保険労務士として活躍するために読んだ本 これから社会保険労務士事務所で働く方や、人事労務の業界に転職した方の中には 人事労務の実務で役に立つ本を知りたい社会保険労務士...

企業内で総務部や人事部として働きたい方

社労士事務所と大きく異る点は、「採用」「教育」「退職」のフェーズすべてで第一人者として対応しなければいけません。

企業内社労士として働く場合、一年間における仕事のスケジュールや流れを理解した上で、各業務に応じた知識を整理していきましょう。

人事 本
【人事担当者になったら必読】人事・採用の仕事に役立つ実務書8選 社会保険労務士事務所や一般企業の人事部門で働く場合、 人事の仕事ってどう勉強したらいいの?採用とか教育に関する本は何がオススメ...

独立を目指している、独立したばかりの方

開業を考えている方は、実務よりも先にマーケティング知識の学習をしておきましょう。

事務所経営をするためには売上の確保は必要不可欠です。お客様と契約できなければ、実務知識を深めても活かすことはできません。お客様を見つけて、契約いただくことが開業時点での必須アクションなのです。

士業のマーケティング知識については「士業の業績革新マニュアル」を読み込めば一通り理解することができるため、非常にオススメです。

社会保険労務士だけではなく「弁護士」「税理士」「司法書士」と他士業の内容もありますが、士業に特化し、売上を上げるための具体的手法が記載されていますので読んで損はないでしょう。

参考となる本の紹介⑥

大手コンサルティング会社である、船井総合研究所が出版している士業特化の書籍です。

出版は2015年と少し古いですが、商品戦略・マーケティング手法は今も変わらずに使えるノウハウばかりです。少し値段は高いですが、独立するならオススメの一冊です。

knot

独立する知人社労士の手伝いをするために、マーケティング系の本を読み漁っているときに改めて読みましたが、士業のノウハウが整理されていると思いました。これから独立開業する方はぜひ持っておくべき一冊です。

【まとめ】社労士業界は楽しいのでオススメです!

社労士を目指す方

社労士について、具体的に知ることができました!これから試験に向かって、勉強がんばります!

knot

大変な仕事も多いですが、やりがいのある業界です!「人事・労務」に興味がある方はぜひ資格合格を目指して頑張ってください!

今回は社労士業界について解説させていただきました。資格を目指している方には、ぜひ合格していただき、同じ業界で働けたら良いな、と思います!

最後に、社労士はこんな方に向いています!という整理をしてみました。

社労士に向いている方の特徴

  • 「人」と向き合うことが好き
  • 色々と考えて、自分なりの仮説を立てることができる
  • 経営に関われる仕事がしたい
  • 誰かの役に立つ仕事がしたい
  • 話を聞くことが得意、傾聴力がある

実務的な側面でいけば他にも特徴はありますが、とにかく「人」のことで頑張れる方・頑張りたい方には、社労スはうってつけの資格・仕事です。ぜひ合格して、業界に入ってきてほしいと思います。

社労士試験は、合格率が低いため「難しくて勉強に挫折しそう」と思われる方も多いですが、戦略的に勉強すると一年の短期合格も可能です!実際に私も約10ヶ月程度で、一発合格できました。

社会人の方は、勉強できる時間が限られていますので、効率的な勉強方法が必要ですので、短期合格を目指す方は通信講座を受けましょう。比較をしておりますので、ぜひ参考にしてください!

社労士 講座 おすすめ
【社会人向け】社労士の予備校・通信講座を比較・オススメ解説【2022年合格】 働き方改革や人事労務の重要性が高まっていることから、社会保険労務士の資格を取りたい!でも一方で 社労士の資格に向けて勉強し...

ABOUT ME
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合格率4.4%だった社労士試験を一発合格。社労士法人で修行した後、メガベンチャーに転職。経営企画とかマーケティングとかコンサルティングをしています。