社会保険労務士事務所や一般企業で人事・労務関係の業務に従事する方の中で、
このように悩まれる人もいるのではないでしょうか?
今回の記事では
- 社会保険労務士として活躍する際に必要なマインド
- クライアントに提供する知識のアップデートについて
この2つのカテゴリに分けてご紹介します。
私は社会保険労務士法人にて約3年間務めている中で、従業員数が1名から500名を超えるクライアントを担当し、
現在はベンチャー企業で組織・経営コンサルティングを提供する中で「これは役に立った」と実感している書籍ばかりですので、ぜひ読んでいただければと思います。
You TubeやブログといったSNSの発達で、ネット上で一般的な知識は手に入りますが、本当に活躍されたい方は、本を用いて情報収集することをオススメします。
第一線で活躍されている方が書いている本ばかりですので、社会保険労務士として活躍されたい方はぜひご一読ください。
とは言っても、全ての本を闇雲に読んでも身につかないので、興味・関心があるものからまず手に取っていただき、少しずつ実務に取り入れて行きましょう!
まだ上級者には少し早いかな、と思う方は、下記の記事にて私が社労士登録をしたばかりの頃に読んで役立った実務本を紹介しておりますので、こちらも参考にしてください。
上級者を目指す際に読むべき本の特徴とは?
人事・労務管理の専門家として成長するためには、どのような本を読むべきなのでしょうか?
結論は非常にシンプルで、
- 経営者思考が身につけられる本
- 成功している企業が取り組んできた事例
この2つが書かれている本になります。
人事・労務の仕事は専門的な知識は当然問われますが、現場で経営者の方と打ち合わせをする場合は
- 「法律は分かっているが、うちの会社が対応すべき内容を優先順位を整理してほしい」
- 「他の会社でこのような問題が起こった場合は、どのように対応しているのか、事例が知りたい」
- 「会社を成長させるために必要な労務管理の手法を教えてほしい」
このように「法律論」のような杓子定規のアドバイスではなく、会社に応じた施策や事例を求められることが多くあります。
これは社会保険労務士事務所で働く場合だけでなく、一般企業の人事・労務管理をする際も同様で、
単なる法律論は極論「調べれば解決してしまう」ことが多いので、そこに価値はありません。
必要なのは、
その企業(経営者)に求められていること・やるべきことは何なのか?=経営者思考
上手くいっている企業はどのような取り組みをしているのか?=成功事例
こういった思考や情報を適切に・効率的に仕入れましょう。
経営者思考を養うための3冊
社会保険労務士としてクライアントに指導・提案する場合や、一般企業で人事・労務管理をする場合であっても、「その会社を良くするために何をすべきなのか」という考え方は重要になります。
経営参謀としての士業戦略
まず最初に紹介するのは、公認会計士・心理カウンセラーである藤田耕司先生が著書となっている、経営参謀としての士業戦略(AI時代に求められる仕事)です。
- 士業(社会保険労務士含む)が経営者の参謀役として立ち回るためのノウハウが得られる
- AIが発達する将来において「何を売るか」ではなく、経営者にとって「どのような存在になるのか」という姿勢が学べる
- 約300近い事例を元に、相談への対応方法が記載されているため実践に近い知識を養える
こちらの本の切り口は、AI時代(=多くの仕事がテクノロジーに取って代わる)において、士業という資格業がどのようになっていくのかという観点で執筆されおり、
「経営者にどのように向き合い、力になっていくのか」という所謂、経営参謀になるための考え方が具体例に基づいて解説されています。
士業の中で社会保険労務士も例外ではなく、テクノロジーの発展や新たに資格を取得される方は毎年一定数います。このように競合が増え続ける中で、活躍するためには経営者の方から選ばれる必要がありますので、
ぜひ経営参謀としての立ち位置を理解・実践していただきたいと思います。
実際の現場での会話例や、経営参謀として士業を営む先生方の成功事例が豊富ですので、社会保険労務士として今後活躍されたい方には、すぐに役に立つ非常にオススメの一冊です。
- コンサルタントとしてクライアントの課題解決をしたい方
- 経営者の参謀役として、その企業に入り込んでアドバイスをするために必要な考え方やノウハウを知りたい
- 他の社会保険労務士と差別化を図り、選ばれる人財になりたい
企業化する士業と、勝者のメンタリティ
2冊目は、企業化する士業と、勝者のメンタリティです。
こちらは、社会保険労務士事務所として日本最大規模である「SATO社会保険労務士法人」をグループに持つ、SATOグループの代表・佐藤良雄先生が著書の本になります。
- 日本最大規模の社会保険労務士事務所を経営する代表のマインドが知れる
- 組織を成長させるためにどういった思考で経営者にアプローチしてきたのか?という事例が豊富
- 「独占業務がなくなったとき、資格の価値はなくなる」ことを前提に執筆されているため、資格に頼らずに価値発揮をする方法が学べる
資格業である士業・社会保険労務士は、一般的には独占業務という壁に守られている様に見えますが、佐藤代表は「独占業務はいつか無くなる」という仮説を立てて考えられています。
社会保険労務士事務所として国内最大まで成長させたということは、それだけ多くの企業から選ばれている訳であり、顧問先企業は中小零細企業で5000社超・大企業でも500社超の実績は圧巻の一言に付きます。
そんな事務所をグループ傘下に持つSATOグループ・代表の「経営者思考」はぜひ学んで頂きたいと思います。
- 士業の資格を取得して業界に入ったが、自信を持って仕事ができない方
- 今までは資格に頼っていたが、仕事の在り方について見直したい方
- クライアントから評価される企業(事務所)がどのような価値提供をしているのか知りたい方
急成長を実現する! 士業の営業戦略
3冊目は急成長を実現する! 士業の営業戦略です。
こちらは、「営業」「商品」「販売」を軸として、士業事務所が成長するために必要なエッセンスが解説されています。
- 営業……既存顧客から新規顧客の紹介をいただくための営業とは?
- 商品……付加価値の高いコンサルティング商品を作るためには?
- 販売……地道なセミナーからソーシャルメディアを活用したマーケティングとは?
マーケティング経験がある方からすれば、原理原則の考え方が多くあるため「もっと具体的なやり方や戦闘レベルのノウハウが知りたい」となると思いますが、
地方の社会保険労務士事務所で勤務している場合は、目の前の仕事に追われてしまい、「クライアントに選ばれるための方法」や「クライアントから信頼されて新しいお客様を紹介してもらう手法」を学ぶことは中々できません。
士業をビジネスとして捉えて、成功させるための戦略から具体的に取り組んできた施策を成功事例から勉強できますので、今後独立を考えている方や、勤務している事務所の業績に寄与することで給与を上げていきたい方は必見の一冊です。
- 今後社労士事務所の起業を考えており、売上を伸ばすための戦略・戦術を仕入れたい
- 成功した事務所がどのような取り組みをしてきたのか知りたい方
人事・労務管理の成功事例を体系的に学べる2冊
次に、成功している企業が取り組んできた事例を効率的に学べる2冊をご紹介します。
こちらは、
4冊は、ある程度実務経験を積まれた方に向けての本になります。クライアントとの相談により踏み込んで対応するためにぜひ読んで欲しいと思いますので、要チェックです。
人材マネジメント入門
成功事例を学ぶための1冊目は、人材マネジメント入門【人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ】です。
「あれ?上級者を目指すのに【入門】の本なの?」と思われる方、いらっしゃるかもしれません。しかしこの本は、人事・労務に必須な知識である100個のポイントがまとまっている本であり、「入門書」ではなく「事典」という表現の方が適切だと思っております。
また、この本では実際の事例として
- サイボウズ:ベンチャー中小・流動排出タイプ
- アカツキ :ベンチャー中小・長期育成タイプ
- リクルート:グローバル大手・流動排出タイプ
- トヨタ :グローバル大手・長期育成タイプ
上記4社における人材マネジメントの手法が体系化して解説されていますので、クライアントの規模や方向性に応じて必要な提案をすることができます。
- 人事管理(評価制度・報酬制度/採用・異動・代謝(退職)/人材開発・組織開発)の流れを一通り学ぶことができる
- 4社の事例があるため、自社や自身と比べながら知識を仕入れることができる
- 人事領域の10分野を10項目ずつ(合計100のツボとして)わかりやすく解説されているため、多くの事例が一冊に集まっている
社会保険労務士として活躍するためには、法律を知っていることはあくまでもスタート地点であり、
会社の特徴に応じた制度設計が提案できるのか?が重要なポイントになります。
加えて、成功事例を知らなければ机上の空論になってしまいますので、他の会社で人事・労務管理がどのように行われているのか把握しておく必要がありますが、
例えば、経営者から「他の会社で従業員の採用をする際、どのように考えているのか?」という質問があった際には
- サイボウズ:U-29(ユニーク)採用を実施
- アカツキ :「SHINE」募集
- リクルート:自分より優秀な人を採る
- トヨタ :新卒中心から「中途5割」へ
このように多種多様な取り組みを、事例に基づき解説することができます。
- 人事に関する知識を体系的に学び、エキスパートとして活躍したい方
- 成功している中小企業・大企業が人事についてどのような取り組みをしているのか知りたい方
- 一般企業で人事・労務管理のマネージャー職であり、現場を良くするために事例を収集したい方
プレイングマネジャー「残業ゼロ」の仕事術
次にご紹介する事例解説の本は、プレイングマネジャー「残業ゼロ」の仕事術になります。
こちらの本はタイトル通り「残業をゼロにする」ためのエッセンスが紹介されていますが、単に小手先の手法や制度ではなく、マネジメントをする上で「どのようにコミュニケーションをすべきなのか?」といった具体的な行動手法まで記載されております。
- 働き方改革コンサルティングを約1,000社に提供された事例に基づいて、残業をゼロにするために必要なポイントが満載
- 「心理的安全性」という、どのような企業でも必要な切り口から解説されている
- 何のために残業をゼロにするのか、根本的な要因から掘り下げているため、杓子定規ではないノウハウが仕入れられる
社会保険労務士の仕事をしていると、「社外人事部」という役割をクライアントから求められることがあり、経営者から
- 長時間労働の改善に向けて必要なアクションを教えてほしい
- 従業員の生産性を高めるためにはどのように仕事をしてもらうべきなのか知りたい
このようなご相談を受けることがあります。
人事・労務管理における課題の多くは「労働時間」に関係しますが、こういった場合に
「変形労働時間制度の導入提案しかできない」
「制度の導入に加えて、実労働時間の削減に向けた具体的なアドバイスができる」
どちらの専門家を「頼りたい!」と思いますか?9割以上の方が、後者を選ばれるのではないでしょうか。
社会保険労務士としてクライアント企業にはびこる「長時間労働」という課題解決をしたい方には必読書と言えます。
- 労働時間削減という根本的な課題解決に向けたノウハウを学びたい方
- 生産性を高めるためのマネジメント手法を知りたい方
- コンサルティングができる社会保険労務士をめざしたい方
まとめ
今回は、社会保険労務士として成長するために役に立った5つの本を
- 経営者思考を養う
- 事例を収集する
この2つの軸でご紹介いたしました。
社会保険労務士という職業は、資格の取得はあくまでもスタートラインであり、中小企業の職場環境改善・向上のアドバイスができなければ意味がありません。
これらの本は独立をする上でも、非常に参考になる内容ばかりですので、皆さんの実務能力・売上向上に繋がれば幸いです。
人事・労務のコンサルタントとして活躍するために、成功した事務所が実際に行ってきた取り組みや考え方を仕入れて、一歩ずつ前進していきましょう!