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【現役の社労士が解説】社会保険労務士の仕事とやりがい【労務管理編】

こんにちは、社労士Campusのknotです。

皆さんは、資格試験を受けるにあたって、

資格に関するよくあるお悩み


  • 資格を取った後って、どのくらい役に立つのだろう
  • 働くときに、どの程度価値がある資格なんだろう
  • 実際にこの資格を取った後、どんな働き方ができるんだろう

このように感じることはありませんか?

今回は国家資格・社会保険労務士の試験に合格・取得した後の、

働き方や仕事内容、やりがいを感じる瞬間について、解説いたします。

knot

私は社会保険労務士事務所に約3年間勤務し、その後メガベンチャーと呼ばれる企業で資格を活用しながら働いています。その経験からお伝えさせていただきます!

私も社会保険労務士の資格を目指しているときは「社会保険労務士 仕事」とよく検索をしておりましたが、当たり障りの無い解説ばかりで、中々イメージを掴むことが出来ませんでした。そういった方の一助になれば幸いです。

この記事でお伝えできること


  • 社会保険労務士が具体的に何をしているのか
  • どんなときにやりがいを感じるのか
  • 結局「楽しく」働けて、「やりがい」はある仕事なのか

社会保険労務士(社労士)の仕事とは

社会保険労務士の仕事を一言で表すと「労務・人事管理」です。

社会保険労務士の仕事は、

企業における人材の採用から退職までのサイクルに発生する事案についてサポートをすることです。

この人材の採用・退職のサイクルのサポートのことを労務・人事管理と表現できますが、実際にどのような業務なのでしょうか。

社会保険労務士の業務については法律上で1号・2号・3号と呼ばれる独占業務が定められており、解説するサイトは多くあります。

しかし、実態として社会保険労務士の仕事は、独占業務を取り上げるだけでは全くイメージが湧きませんので、労務・人事管理面から私が社会保険労務士としてどのような業務をしていたのかお伝えします。

労務管理

今回は、労務・人事管理の中で、「労務管理」に注目して仕事内容を見ていきましょう。

この労務管理は大きく3つに分類することができます。

  • 1つ目:勤怠管理……企業の従業員の出勤・退勤時間や遅刻・早退、その他有給休暇等の管理を代行します。
  • 2つ目:給与計算……企業から受領した勤怠データを元に、毎月の給与計算(残業代や保険料・税金も含みます)を代行します。
  • 3つ目:手続代行……従業員を新しく採用したり、退職した際に発生する健康保険等の保険の加入・喪失の手続きを代行します。

また、これらの仕事は従業員の生活に紐付いているため労働基準法や会社規定といったコンプライアンス遵守が求められます。

労働環境が悪化すると、会社と従業員の信頼関係に亀裂が走ります。その結果「この会社で働いても仕方ない」とモチベーションが低下するだけでなく、退職・転職に繋がってしまいます。

労務管理は、企業経営の中で欠かすことのできない「ヒト」、つまり従業員の方が働きやすくなるよう環境整備を行う大切な仕事なのです。

勤怠管理とは

勤怠管理とは、主に従業員が「働いている状況」の管理と表せます。

会社で勤務している従業員一人ひとりが

何時間勤務をしているのか?」「何日休日を取っていたのか?

といった情報を毎日のタイムカードや出勤簿等から毎月管理をしないといけませんが、

従業員の人数が増える毎に管理する書類も増えますし、本業ではない作業ですのでやりたくない経営者の方もいらっしゃいます。

その際、社会保険労務士は勤怠管理の代行を依頼され、

その企業に依頼されたタイミングに応じて勤怠がどのようになっているのか確認・報告をすることになります。

勤怠管理における社会保険労務士の役割

勤怠管理を行う際、企業側には次のような課題が発生するため、社会保険労務士がサポートを求められます。

企業側の困りごと


従業員が打刻をしたタイムカードや出勤簿を集計して、労働時間などを一人ひとり確認をするのは非常に手間のかかる作業。

また、集計した勤怠の結果にどのような問題点があるのか把握・改善するためには、法律を調べ、理解しなければならない。

勤怠管理について、手早く問題点の可視化・改善指導をしてほしい。

社会保険労務士の役割


企業からタイムカードや出勤簿を受け取り、従業員ごとに労働時間、残業時間、欠勤時間等を集計。

基本的には毎月1回だが、企業のニーズによって、夜勤など勤務形式が多岐にわたる場合は隔週等の頻度で集計をすることもある。

集計した内容から問題点や改善点が発見された場合、改善内容を企業に通知する。

昨今の働き方改革の影響を受けて、中小企業であっても有給休暇を5日間取得させる義務も生じたため、

勤怠管理を専門家に任せたいニーズは高まっていると言えます。

給与計算とは

給与計算は、毎月従業員に支払う給与の金額を計算する仕事です。

給与計算には給与として支払う金額」と「給与から控除される金額」の算出が求められますが、おおよそ次のようにまとめることができます。

給与として支払う金額

  • 基本給/残業手当……労働時間や残業時間に応じて、支払うべき金額はいくらなのか?
  • 通勤手当……出勤日数に応じて、支払うべき金額はいくらなのか?
  • 各種諸手当……会社ごとに定められた諸手当の条件に応じて、支払うべき金額はいくらなのか?

給与から控除される金額

  • 保険料……従業員ごとに加入をしている保険料(雇用保険・健康保険・厚生年金保険等)の金額がいくらなのか?
  • 税額控除……給与の金額によって変動する所得税額はいくらなのか?住民税が天引きされているのか?
  • その他控除……遅刻/早退や欠勤によって給与から控除しなければいけない金額はいくらなのか?

この内、残業代や各種諸手当のように毎月変動しやすい項目は、入力をする際に誤る可能性も高まります

もし間違えてしまった場合は、どうなるのでしょうか。

従業員本人への謝罪や給与の差額調整だけでなく、所得税の納付についても修正しなければいけません。その際、税務署から説明を求められるケースもありますので、専門的な知識がなければ対応に時間が掛かってしまいます。

また、給与で住宅ローンや車のローン等の借入返済をしている方からすると、給与支給日にきちんとした金額が振り込まれていないことが原因で、引き落としができなければ大変なことに繋がります。

給与の支給日は、働いている人の目線だと楽しみなものかと思いますが、

会社側からすると、給与計算は毎月必ず発生するだけでなく、間違えると従業員との信頼関係に傷がつきますので、慎重かつ正確にしなければならない大切な業務です。

給与計算における社会保険労務士の役割

給与計算を行う際、企業側には次のような課題が発生するため、社会保険労務士にサポートが求められます。

企業側の困りごと


毎月1回、必ず発生する作業にも関わらず、会社の売上に繋がらない間接業務。経営者からすると手間の一部。

残業時間の計算や保険料・税金の控除は専門的な知識が必要なため、片手間に給与計算をすると間違う恐れがある一方で、給与計算を間違えると従業員との信頼に傷がついてしまう。

給与計算に追われることなく、本業に安心・集中して取り組みたい。

社会保険労務士の役割


会社から勤怠データを受け取り、給与計算を実施する。専門システムを導入することで、機械的に処理が可能。情報が正しければ間違えることも0に近い。

給与計算の締日から1~2日後にデータを受け取り、支払日(金融機関での振り込みをする場合は、その期日)までに従業員へ支払う金額および会社が収める保険料・税金の金額を計算し、企業へ通知する。

給与計算は、単なる計算業務ではありません。

法律の知識を理解して、正しい処理を毎月期日までに実施する能力が求められますし、何より従業員の生活に直接的に影響を及ぼす大切な業務です。

そのため、社会保険労務士として人の生活を支えることができる価値ある仕事だと感じます。

手続代行とは

手続代行は、会社経営上で随時発生するイベントに応じて、必要な書類の作成や、関係する行政への届出を代行することです。

社会保険労務士は、主に雇用保険法・労働保険徴収法・労働者災害補償保険法・健康保険法・厚生年金保険法・国民年金保険法等に基づいた、「労働保険」「社会保険」と呼ばれる行政手続きを担います。

イベントとは、主に3つの観点で考えることができます。

定期業務

定期業務とは、年間を通して定期的に発生しやすいイベントに応じた手続き業務を指します。

  • 従業員を採用した際に発生する保険加入の手続
  • 従業員が退職した際に発生する保険脱退の手続
  • 従業員が結婚や出産等によって扶養の異動が発生した際の手続
  • 夏や冬に支給する賞与に関する手続

年間業務

年間業務とは、保険に加入している場合、年間を通して必ず発生するイベントに応じた手続き業務を指します。

  • 社会保険の算定基礎の手続
  • 労働保険の年度更新の手続
  • 残業命令をする際に必要な36協定の更新手続

社会保険も、労働保険も、会社と従業員が支払う保険料を正式に決定するための大切なイベントです。また、36協定については年に一度の更新が推奨されております。

臨時業務

臨時業務とは、年間を通して発生頻度は低い臨時的なイベントに応じた手続き業務を指します。

  • 会社の新規設立における保険加入の手続
  • 会社の名称や所在地の変更に関する変更手続
  • 従業員の出産・育児における休業の手続

手続代行における社会保険労務士の役割

手続き業務を行う際、企業側には次のような課題が発生するため、社会保険労務士にサポートが求められます

企業側の困りごと


「今後出産を控えている従業員がいるが、産前産後と育児休業の届出ってどう違うのだろう」

「退職した従業員から離職票が欲しいと連絡を受けたが、作成の仕方や注意点がわからない」

このようなイベントが発生した際に、どの手続きをする必要があるのか分からない。

また、頻繁に発生するイベントもあれば、例外的なイベントもあり、都度調べながらの手続きは煩わしい。

一方で従業員は、会社が正確に手続きしてくれていると思っているため、間違えると信頼関係を損ねかねない。

手続きを正確に、本業に安心・集中して取り組みたい。

社会保険労務士の役割


企業で発生するイベントに応じて必要な手続書類を作成・関係行政へ届出。

手続きは一度の提出で完結するものもあれば、継続的な提出が必要な場合もあるため、期日管理についても実施。

また、行政からの問い合わせについても対応が可能となり経営者に安心・集中ができる環境が提供できる。

手続き業務の中でも、社会保険に関する法律は頻繁に改正されています。

一年間のうち、様々な書類作成が必要ですが、それに加えて行政とのやりとりも発生するため、多くの経営者が頭を悩ませています

そのため知識があり、正確な処理が可能な社会保険労務士への依頼をされるケースが多くあります。

労務管理と社会保険労務士

「労務」の観点から企業の経営・成長を支えることができるため非常にやりがいのある仕事です!

今回ご紹介した労務管理の仕事内容は、「ヒト」に関する領域が多いため従業員の生活に紐付いている大切なものです。

杜撰な管理をしてしまうと、従業員は「この会社はきちんと対応してくれない、信用ができない」とネガティブな印象が生じ、トラブルや退職に繋がり、経営に悪影響を及ぼします。

社会保険労務士は「ヒト」の専門家として企業を支えることができますので、大変ではありますがやりがいのある仕事なのです。

社会保険労務士の仕事はまだまだ奥が深いですが、今回の記事をきっかけに社会保険労務士の資格や仕事に興味を持っていただけましたら幸いです。

knot

私は社会保険労務士として働く中で、経営者から

「大変な給与計算を毎月してくれて、助かっております」

「自分でしていた手続きが間違っていることを指摘してくれたおかげで、従業員に迷惑をかけずに済んだ」

といった言葉をいただいた際は、本当にこの業界で働いていて良かったと感じます。

ABOUT ME
knot
合格率4.4%だった社労士試験を一発合格。社労士法人で修行した後、メガベンチャーに転職。経営企画とかマーケティングとかコンサルティングをしています。