社会保険労務士を志望している方の中には
と考える方もいらっしゃるかと思います。
社労士の役割は一言で表すと「縁の下の力持ち」ですが、やりがいは中々言葉にしにくいものです。経営者の役に立てる仕事であることは間違いないですが、その延長線で国を支える大切な仕事でもあります。
私は社会保険労務士として6年目を迎えており、実際に現場で働いて楽しいことも辛いことも経験しました。その実体験から、やりがいを10連発でお伝えいたします!
これから試験に向けて勉強される方に、少しでも社労士の仕事が伝えられ、また「資格を取って経営者を支えたい!」と少しでもワクワクできるビジョンがお伝えできれば幸いです。
社労士のやりがい10連発
仕事を長く続けていくためには、自分がどういったことにやりがいを感じるのかを見極めることが重要です。
また、人生の中で「働く」時間は大部分を占めていますので、やりがいがなければ時間を無意味に過ごしているのと同じですので、勿体ないとも言えます。
どうせ同じ時間働くのであれば、やりがいをもって価値のある時間を過ごしたいですよね。
まずは、私が実体験した「やりがい10連発」を見て、自分がこの業界に飛び込んでワクワクできるのか、確認してみてください。
その後に、もし「楽しそう!」「やってみたい」と感じていただけた場合、業界に飛び込むための方法・ステップを紹介しておりますのでぜひこの通りに実践してみてください。
①社会性の高い仕事ができる
社労士の仕事は、「雇用」に関係しています。
例えば、契約先の企業の労働環境を改善・指導することができれば、不満を持つ従業員が減り、結果として離職率が下がります。
働いている人が定着すれば、国の雇用制度が安定するため、間接的に国を支えている仕事と言えるのです。
また、雇用が安定すると経営も滞りなく運営できますので、社労士の仕事により倒産する企業を減らすことができれば社会全体にプラスの影響を与えることができます。
また、直近では新型コロナウイルスにより事業継続が困難になっている企業も多くありますが、国が準備している雇用調整助成金の申請代行は社労士の独占業務のため、
- 助成金の申請方法が分からずに、日々苦しく事業を続けている
- 何とか書類を作り上げたが、内容が正しくできているのか不安
こういった悩みを持つ経営者をサポートすることで多くの企業の手助けができています。
自分の仕事が、誰かのため、社会のためになっていると実感できる業務ですので、やりがいがあります。
「従業員を解雇したい」という相談を経営者からいただくときは、慎重にアドバイスをしなければ大きなトラブルに発展することもあるなど、雇用を支えるためには頭も使い大変です。
その分、問題が解決できるとやりがいを感じることができますね!
②感謝される
社労士への相談の多くは、困っている経営者から寄せられます。
例えば、
「日中に真面目に働かずに、勝手に残業や休日出勤をしている従業員がいるのですが、どのように対応すれば良いのでしょうか?他の従業員も働き辛そうで、困っています」
「社内でハラスメントを行う社員がいて、社内の雰囲気が悪くなっています。環境を良くするためのアドバイスが欲しい」
こういった相談に対して、
- 会社内のルール設計
- 法律に基づいた制度の周知徹底
- ルールの守れない従業員に対する研修や面談
をすることで、「問題社員による他の従業員への悪影響」や「経営資源の私的流用」から会社を守ることができます。
雇用は、会社を運営していく上で必要不可欠なものですが、非常にセンシティブでもあります。専門家として経営者をサポートし、感謝の言葉を頂けた瞬間には、大きなやりがいを感じます。
③仕事が作れる
人事・労務の仕事には、ある意味正解がありません。
労働基準法や労働契約法といった法律はありますが、企業ごとに対応方法は全く異なります。
通常、労働時間は1日8時間を超えてはいけませんが、
- 8時間を超えないようにするために、どのように仕事を割り振りすれば良いのだろう?
- 残業代のために無理に働く従業員に、どう意識改革してもらおう?
- そもそも経営者に法令遵守のマインドセットをするためには何を伝えればいいのだろう?
労働時間の守り方を一つとっても、社労士は多くのことを考える必要があります。
企業独特の文化に対応をしながら仕事をするため、「法律上はこれをしなければいけません」としか言えない人は、契約を切られる可能性もあるのでプレッシャーはありますが、
0から1を生み出す経験ができることは、他の仕事にはない強みかもしれません。
私は独自に、「雇用形態ごとの期待する役割とキャリアパスについて」という資料を作成し、契約先の企業に提案したところ非常に喜ばれました。自分の意思で必要と思うものを形にし、受入れられる瞬間は嬉しいですね!
④定年がない
独立開業をしている場合、士業の事務所では定年の概念はありませんので、健康が続く限り働くことができます。
70歳を超えても現役として、第一線で企業にコンサルティングをしている方も多くいらっしゃいます。
また、一般企業を定年退職をしてから事務所設立をされる方も少なくありません。自分が「やりたい!」と思える限り、いつまでも働けるのは魅力的です。
⑤年齢関係なく活躍ができる
私は25歳の時に社労士試験に合格し、翌年に社労士の登録をしました。
その後は「社会保険労務士」と明記した名刺を交換をさせていただく機会が多くありましたが、若いから頼りないという対応はされたことがありません。
むしろ、資格を信頼して深い相談をいただけることがありました。
実力があれば、年齢やキャリア関係なく働けますので、20代の方も思い切って飛び込んでほしい業界です。
研修やセミナーの講師として5回ほど登壇しましたが、20代で経営者の前に立ち、法律の解説や提言ができたのは非常に良い経験になっています。単なる若手ではなく、資格という看板があるからこそできた仕事です。
⑥企業を支えるパートナーになれる
社労士は、社外人事部としての役割もありますので、経営者の右腕として仕事ができます。
経営者は、従業員の採用や教育、働く環境作りについて様々な課題・悩みを抱えています。中小企業では「人材」が命になりますので、
- 離職者が多く、生産性が全く上がらない
- 求人を出しても応募が全く来ず、万年人手不足に悩んでいる
このような状況下にあると経営は上手く回りません。
社労士は、企業のパートナーとして「人」に関する環境改善のための提案が求められますので、経営者から相談を受けた場合、やりがいを感じる瞬間だと言えるでしょう。
ただし「人」に関係するため、社労士の分析やアドバイスは企業経営だけでなく、従業員の生活にも影響を及ぼす場合もありますので責任は重大です。
⑦専門性を広く・深く身につけられる
意欲的な人にとっては、特に興味深い項目になりますが、
人事・労務はどのような業界であっても、どのような業種であっても、必要な仕事です。
従業員が1人しかいない飲食店から、数千名を超える大手小売業まで、依頼がある場合はその会社の内情に踏み込んでサポートをします。
新しい会社と出会う度に、知識のアップデートがされますので働けば働くほど自分の能力が伸びる事になります。
つまり、仕事そのものが自分の知識になりますので日々自己研鑽ができる業界ですので、意欲的な人にとっては自己実現のできる仕事といえるでしょう。
⑧世の中のトレンドを追い続けられる
仕事柄にはなりますが、常に新しい情報のキャッチアップができます。
昨今の働き方改革や、コロナから従業員を守るためのテレワークを広めるには、労務管理は欠かせません。
企業に対して
- テレワークをするのであれば労働時間管理をどのようにしますか?
- 仕事とプライベートの時間が曖昧になりますので、朝礼と夕礼で始業終業の区切りにしましょう
このようにトレンドに応じた情報発信をすることで、大変喜ばれます。
自分が今の時代を知り、企業を支援することで人事労務を通じて時代を作っているかのような感覚を味わえるということはかなり大きな魅力です。
時代を作る、というのは極端な話に聞こえますが、改正される法律への対処方法等は、自分で考えて作る必要があります。企業文化やルールに応じて、新たな制度を提案・設計する際は非常にわくわくしますね!
⑨主体的に提案ができる
顧問契約先の会社を良くするためには何が求められているのかを考え、主体的に動いて提案ができますので、自分で得た知識やノウハウを活かせます。
実体験を上げさせていただくと、システム営業の上場企業を担当していた時に、出張が多く労働時間管理が全くできていなかった為、
出張時における労働時間の取り扱い方法と注意点をテーマとした管理職研修を提案および実施をさせていただきました。
企画立案から当日の講座設計、登壇まで、自分の力で企業の改善のためにアイデアを出し、それを形にしていくことができた瞬間は非常にやりがいを感じました。
発想力と創造力を発揮しながら働けることも、社会保険労務士の仕事の魅力です。
⑩自分が作ったルールが会社を支える
社労士の仕事の一つに、就業規則や社内規定作成があります。
就業規則は会社のルールであり、ある意味憲法とも呼べる法的書類ですが、その規定にする内容を経営者と考えて、意味のある文章に落とし込みをします。
労使でトラブルが発生したときには、どちらに非があるのか就業規則を軸に考えますので、きちんと作成ができている場合は無用な争いを防止する機能があります。
そのような重要な書類の作成を担うことができることは、専門家として働く魅力といえます。
社労士の仕事の一つに就業規則の作成、というものがあります。その会社で働いてもらうルールを作ることになりますので、責任は非常に重たいですが、安心して働けるようにするためにはどのような制度が良いのか考えることは非常にやりがいがありました。
社労士として働くために
今回お伝えした、10個のやりがいを呼んで、もし「社労士として働いてみたい!」と思ってくれる人がいましたら、大変光栄です。
ぜひ未経験であってもこの業界に飛び込んできて欲しいですが、その前に「自分に合うのか、合わないのか」を判断してください。
やりがいは人によって異なるため、「仕事が自分にあっていない」と感じてしまうと、楽しくありませんし、別の業界へ再度就職をしなければいけません。
労働の問題が今後広がっていくトレンドのある業界であり、自分に向いていると感じたからこそ社労士の資格を取り、実際に社労士法人に転職をしました。その結果、今回のやりがい10連発をお伝えできるなど、楽しく仕事ができていました。
まずは自分がどのような性格なのか整理し、業界で求められる能力を整理した上で転職を考えましょう。
社労士に向いている人の特徴
社労士に向いている人は、ずばり次の3つの特徴になります。
- 勉強が好きな人……トレンドを追いかける能力になります
- コミュニケーションをとることが好き・得意な人……経営者の想いを傾聴できる能力になります
- 相手のことを考えて動ける人……会社に必要な提案ができる能力になります
必要なスキルではありませんが、社労士として働く上で役に立つ人物像です。備わっていない場合は、身につけられるように意識的に取り組んでみましょう。
社労士の将来性について
やりがいはあっても、将来性のある仕事でなければチャレンジしにくいですよね。
社労士業界では「社労士の仕事はAIやテクノロジーに代替されるため、将来はなくなる仕事」と度々話題に上がることがあります。
あながち間違ってはいないのですが、結論
- 経営者に向き合ってアドバイスができる
- 企業の課題を真剣に考えて、コンサルティングができる
このように、しっかりと「ヒト」に向き合ったサポートができれば、AI・テクノロジーに代替されるような仕事ではありません。むしろ、社労士はより必要性が高まる仕事だと思います。
詳しくは、下記の記事で解説しておりますので、ぜひご確認ください。
就職・転職のための3つのステップ
社労士を目指す!人事労務関係で働いてみたい!と増々意欲が湧いた方であっても、
未経験だから転職できるか不安……
と思うかもしれませんが、何事も未経験から始まります。
未経験者が、人事労務のスキルを身につけるためには、次の3ステップをオススメしています。
- 社労士事務所/一般企業の人事・労務なのか決める
- 転職サイトもしくはエージェントを活用して転職をする
- 就職先で現場経験を積む
社労士事務所/一般企業の人事・労務なのか決める
一般企業ではありませんが、下記の記事では社労士事務所とベンチャー企業での人事労務なのか比較をしています。
こちらでは各業界における特徴を比較・解説していますので、ご自身がどちらで経験を積むべきなのか一つの判断材料にしていただけると思います。
転職サイトもしくはエージェントを活用して転職をする
未経験の場合、人事労務業界への転職を成功させたいのであれば、転職エージェントは必ず利用しましょう。
転職エージェントは、「求職者と求人会社との間で、条件や考え方にミスマッチがないのか」判断した上で、会社を紹介してくれます。
- どういった教育制度があるのか
- どのようなスケジュールで仕事が回っているのか
このような内容についても詳細に相談できますので、利用しない手はありません。転職が初めての方であっても、職務経歴書や面接の進め方など手広くサポートしてくれますので、安心して転職活動ができます。
経理財務・人事総務・法務の求人・転職なら|管理部門特化型エージェントNo.1【MS-Japan】※年間10,000名以上の方が登録しており、管理部門に精通したキャリアアドバイザーからサポートを受けることができます。業界最大級の転職支援実績がありますので、まずは登録しておきましょう。当然無料で利用ができます。
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また、こちらの記事で未経験の方にオススメの転職方法として、転職エージェントを使うべき理由を別途解説していますのでぜひご一読ください!
就職先で現場経験を積む
現場経験を積むことに対して、「また0から勉強(仕事)するのか」とネガティブに感じるかもしれませんが、仕事で培った知識は一生ものです。
何事もコツコツと、着実にやることが大切です。
こちらの記事では、労務管理関係の仕事について解説しておりますので、現場でのイメージの参考にしてください。
社労士は、「雇用」を守ることが仕事です。しかし「雇用」は人間同士がお金や信頼関係で繋がってできるものですので、一筋縄でサポートできないケースも多々あります。
経営者と対話し、トラブルに動じずに問題解決に向かって努力ができると、信頼される社労士になることができます。
まとめ
今回は、社会保険労務士のやりがいと転職方法をお伝えしました。
人の為に何かしたい、と思う方には非常に向いている業界ですので、やりがいに共感をいただけた方は、ぜひ飛び込んで来てほしいと思います。