こんにちは、knotです。
昨今、「働き方改革」や「在宅勤務」といった社内環境整備ニーズの高まりから、社会保険労務士の資格に興味を持っている方も増えてきております。そんな中で
このように感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私も資格合格後、自分のキャリアをどのように伸ばすことが最適解なのか悩みました。特に「個人経営の事務所って、給与が低そう」という先入観もありました(笑)
人事・労務と聞くと難しいイメージもありますが、誰しも未経験から始まります。私も異業種・未経験で人事・労務業界に飛び込みましたが早6年目(社労士事務所勤務は3年)を迎えております。
今回は私が実際に働いてきた背景を元に、社会保険労務士事務所に就職するメリット・デメリットをまとめました。
私も資格を目指しているときは「どの道に進むことが仕事が身について良いのだろう?」とよく悩んでおりました。今回はそういった方の一助になれば幸いです。
人事労務を未経験から学ぶのなら社会保険労務士事務所はオススメ
巷では、AIやテクノロジーの発展で社労士の仕事は無くなると言われておりますが「人が働く」ことは無くなりませんので、むしろこの業界はまだ伸びなければいけないと感じております。
社会保険労務士事務所の役割
人事・労務の仕事はいわゆるバックオフィス業務とされており、
- 後方支援型
- 売上が発生しないが、会社運営を支える基幹部門
このような特徴があります。
企業では「自社内で対応をするのか」「外部にアウトソーシングするのか」この2択のいずれかを選択するケースが基本となります。
社会保険労務士事務所は後者の「アウトソーシング先」として仕事を依頼されますので、社外人事部と呼ばれることも珍しく有りません。
企業内人事部か、社外人事部か
「この会社が好きだから」「業界専用の知識があるから」このように特別な理由がないのであれば、社外人事部として経験を積むこともぜひ検討してください。
企業内人事部は、確かに環境を直接感じ取れるため課題や改善案にコミットしやすいと言えますが、会社の規模によっては問題も発生しにくく、ルーチン業務になりがちです。バックオフィス業務なのでルーチンになるのは当然ではありますが……。
一方で、社外人事部の場合は取引先の数に応じて業務が発生することになります。例えば、
企業内:その会社だけの採用・退職者のフォロー・就業規則等の整備etc.
社外:顧問先A社の採用・退職者のフォロー×顧問先B社の就業規則の整備×顧問先C社からの採用活動の相談etc.
このように、関与している会社の数だけ、掛け算で仕事も発生します。
特に希望する会社や業界がなく、人事・労務に関する経験を積むのであれば社会保険労務士事務所に就職することも良いのではないでしょうか。
ただし、希望する会社があるのであれば、真剣に企業内の人事労務にコミットできるため、企業内人事部を選択しましょう。
社会保険労務士事務所で働くメリット
社会保険労務士事務所と一般企業の比較
社外人事部と、企業内人事部を比較してみました。
この記事を読んでいる人は、社会保険労務士事務所に興味を持っていると思いますので、ここからは社外人事部として働くメリット・デメリットについて解説いたします。まずは箇条書きで整理すると、次のようになります。
社会保険労務士事務所のメリット
- 様々な業界の労務管理に携われる
- 女性でも安定した年収が見込める
- 専門スキルが身につき、市場価値が高まる
社会保険労務士事務所のデメリット
- 業務量は顧問先数に左右される
- 勉強が大変
- センシティブな問題が多く、対応が難しい
メリット①:様々な業界の労務管理に携われる
メリットの中でも、一番重要かつシンプルな部分です。
取引先の業界は限定されていないため、多種多様な業界に触れることでき、ノウハウが身に付きます。
私が担当した業種は「WEB制作・飲食・医療法人・教育保育・運送・車両販売代理店」のお客様がいましたが、労務管理の方法は当然バラバラですし、そこの業界に見合った管理方法もあります。
特に運送業では取り扱う法律内容も異なりますので、スキルUPに繋がります。
メリット②:女性でも安定した年収が見込める
「個人で開業している人が多くて、年収も低いのでは?」と感じる方もいらっしゃると思います。
- 国税庁より公表されている「平成30年民間給与実態統計調査」
- 厚生労働省より公表されている「令和元年賃金構造基本統計調査」
を元に、下記テーブルを作成しました。
性別
|
社会保険労務士事務所
|
一般企業
|
---|---|---|
男性
|
514万
|
545万
|
女性
|
416万
|
293万
|
こちらのテーブルでは、男性女性ともに40代の数値です。
表を見る限りでは、女性の社会保険労務士は全国平均値よりも高待遇となっております。
また、社会保険労務士事務所の多くは、資格を持っている方に手当を支給することもあるので、年収も変わってきます。経験上、4~5年目ごろから500万円を見込めていたため、統計値よりも上振れ(高年収)は見込めそうです。
私が事務所勤務しているときの年収についてはこちらの記事で解説しております。生の数字だけでなく、調査結果も載せておりますのでぜひご一読ください。
https://www.sharoushi-campus.com/%e3%80%90%e8%bb%a2%e8%81%b7%e3%82%92%e8%80%83%e3%81%88%e3%81%a6%e3%81%84%e3%82%8b%e6%96%b9%e3%81%b8%e3%80%91%e7%a4%be%e4%bc%9a%e4%bf%9d%e9%99%ba%e5%8a%b4%e5%8b%99%e5%a3%ab%e4%ba%8b%e5%8b%99%e6%89%80/メリット③:専門スキルが身につき、市場価値が高まる
自分が面接官であることを想定したとき、次のAさん・Bさんどちらが魅力的に映るでしょうか?同年齢として考えてみましょう。
5年間、企業内で自社の給与計算や入退社手続きなどの労務管理を行っていた。
従業員数は50名程度で、毎年入退社は数名しか発生しないため、特に業務のマニュアルなども必要がなかった。
5年間、社会保険労務士事務所にて勤務。顧問担当先の給与計算から手続き・労務相談に担当者として対応していた。
担当先によっては従業員が数百名の規模もあり、複雑な制度設計も経験をしている。
後者のBさんの方が、広い見識や経験をしていると評価しやすく、採用後に活躍してくれるイメージが湧きませんか?
一つの会社でのみ仕事をしていると、会社独自の情報や取り組み方にも影響をされるため、転職市場での価値は高まりにくく、またアピールも難しいですよね。
多くの企業と付き合うことで、自分のスキルアップだけでなく明確な強みに繋がると言えます。
社会保険労務士事務所で働くデメリット
デメリット①:業務量は顧問先数に左右される
これは社会保険労務士事務所に限った話ではありませんが、取引先の数が仕事に直結します。そのため、顧問先が少ない事務所に入った場合、ノウハウが身に付かないリスクがあります。
業界的にどの程度取引先があるのか、大阪大学「社会保険労務士の業務展開についてのアンケート調査」を参考にグラフを作成しましたので見てみましょう。
この図表の見方ですが、
青色は毎月専門家に対して相談ができる契約(アドバイザリー)
オレンジ色は人事労務に関係する書類作成の代行契約(作業の外注)
と考えてください。
取引先が数社しかない場合もあれば、50社以上の企業と付き合っていることもありますので、入社する事務所がどの程度顧問先を抱えているのか把握することが大切です。面接の段階で「担当として何件持たせてくれるのか?」と質問してみましょう。
デメリット②:勉強が大変
人事・労務はナレッジワーカー(知識労働者)です。
相談であっても、資料の作成であっても知識をベースとしてサービス展開をします。そのため日々勉強は欠かせません。
例えば、2020年に押さえておくべきトピックスは
- 70歳定年に対応できる雇用制度はどのようにして構築すべきなのか?
- コロナと共存を考えたとき、中小企業が在宅勤務制度を導入していくためには何が必要なのか?
- 同一労働同一賃金の判決が出て、方向性がある程度固まってきたが顧問先企業は大丈夫なのか?
法律だけでなく、制度設計等が求められておりました。情勢に沿って取引先の企業理解もアップデートしていく必要があります。
デメリット③:センシティブな問題が多く、対応が難しい
裏を返せば、専門的な知識が必要だから頼られるのですが、社会保険労務士事務所には頭を悩ませる案件が飛び込んできます。
従業員とトラブルになった経営者が「解雇だ!」と頭ごなしに怒鳴ってしまい、従業員が労働基準監督署に掛け込んだ
これ以上大きな問題にならないように対応策を今すぐ教えて欲しい
こんなことを突然相談されても、難しいですよね。
また、提案した内容が、企業だけでなく働いている従業員の方に直接影響が出ることもありますので、非常に大変な仕事と言えます。
社会保険労務士事務所や、人事労務の業界で働くためには
転職をする際「未経験だから雇われにくい」とネガティブになり、結果良い求人募集があったとしても応募せずに終わってしまう……なんてこと、ありませんか?
年齢にもよりますが、一番最初は皆さん「未経験」から始まります。そのためそこで躓いていても時間の無駄で、業界が合うのか合わないのか、実際に2~3年働いて判断されることをオススメします。
そのため、未経験の方であっても転職する際にまずやるべきことは
- 転職サイトに登録をする
- 転職エージェントに相談をする
ことから一歩目を始めましょう。
転職サービスは色々あって迷うと思いますので、人事労務関係に転職を考えた時に登録すべきオススメのサービスをご紹介します。
MS-Japanは、社会保険労務士に関するの求人・転職情報にも力を入れており、業界最大級の転職支援実績を持っております。当然無料で利用できますので、就職・転職の候補探しを強化する意味でも、登録はしておきましょう。
実際に私は社会保険労務士事務所から一部上場企業に転職をできましたが「多くの企業を担当し、最適なソリューションが提案できる」ことを強みにしておりました。